山田太一さんの「遠くの声を捜して」を
やっと実家近くの古本屋さんで見つけることができました。
ときどきこの古本屋さんには掘り出し物があります。
遠くの声を捜して、
は入国管理局の笠間さんという人が一人の不法滞在者を取り逃がしてしまうことから物語がはじまります。
河合隼雄さんは「よくこのように上手く向こう側に行ってしまう人を書いた」といって絶賛していました。心理学的な解説は「こころの読書教室」を読まれるとよいかと思います。
私がこの本を読んで感じたことは、
小説でしか語れないことというのがあるんだなぁというものでした。
最後はもやもやした終わり方ですが、
それでも生きていくということ、
「日常」と「非日常」の間にある淵のような、歪みのようなものを感じていくということ、それらと向き合うことが大事なのかもしれません。
こちらむけ我も寂しき秋の暮れ