クワイエットルームにようこそ

2007年、松尾スズキが監督した映画です。

 

4限に出席して「摂食障害の映画がみたい」と思った私はなんとなく今まで避けていたこちらのDVDを手に取りました。

 

精神疾患閉鎖病棟での人間関係を基調とした物語としては、真木よう子主演の「ベロニカは死ぬことにした」(日本版)がありますが、人間関係というところでみるとこっちの方が面白かったという印象です。

 

大竹しのぶ蒼井優クドカンといった大御所の他に、ちょい役で庵野秀明俵万智しまおまほが出ていて、その系統の人(具体的には2000年代後半に森ガール系の雑誌を読んでいた人)にとっては懐かしいアイドルがたくさんだったはずです。

 

あと看護師役の平岩紙が好きです。

 

筒井真理子さんは最近「淵に立つ」で知った女優さんで、「この頃からでていたんだー」とびっくりしました。

 

映画の配給はアスミック・エース

 

特に大竹しのぶさん演じる「西野」はウザさ全開で、でもすごく面白いキャラクターでした。(映画で見るくらいがちょうどいい)。

 

ヒロインは「嫌われ松子の一生」の松子くらいいろいろ大変な人なのですが、

どうにかこうにかクドカンとの別れを受け入れ、退院することができました。

.......松子の方が大変かな。。。

 

ストーリーで面白かったのは、

登場人物(特に患者側)が共感を求め、同士を求めていたことです。

栗田さんも、ミキも、西野も、金髪の子も、みんなヒロインを自分と同一化しようとします。

彼女たちは自分を受け入れてくれる同性を探しているのかなと思いました。

自分で自分のことを受け入れることができず、また社会をも受け入れることができないからです。

 

無限階段のような、ループしそうなその中で、納得することがとても力を持つような気がしました。

 

あとは、もう少し母娘関係がわかるとよかったですねー。

 

安定した関係や、自分の頭で考えるといったことが結構大事なんだなと思いました。

 

けれどクドカンと主人公の関係はやっぱり疑問が残ります。

「言われたことしかできない」と言うけれど、「こう言ってよ。そしたら別れてあげる」みたいな別れ方ってなんか微妙だな....という。

いやまあ気持ちはわからなくないけど。

 

「私が食べなければ人が助かる」説もよくわかりません。ふつーにNGOインターンとかに行けばいいと思う。

それを「でもそれが世の中の人にはわからないのよ」(したり顔)というニュアンスで言えるのは蒼井優だけだと思います。いいキャスティングでした。

 

賛否両論あるみたいですが、

それでもシリアスさと笑いをうまく取り入れてあるこの作品は、やっぱりすごい作品だと思います。