久しぶりに芥川龍之介を読みました。
小学生の頃に「トロッコ」「アグニの神」「杜子春」「蜜柑」「白」「魔術」「鼻」といった作品を読み、
「ふーん 芥川すごーい」
といったばなな並みの感想を持っていた私は、
中学生の頃に朗読コンテストで「羅生門」を読み、審査員の方から
「老婆のセリフがうまい」
というコメントをいただきました。
(内容は全然わかっていなかった)。
地獄変は「芸術に身を捧げた絵師が自分の娘が焼かれるところを絵にする話」というあらすじだけ知っていて、
中高生にもなると海外文学とか村上春樹がカッコいいお年頃だったので
「芥川は今読まなくていいかな」とか思っていました。
(あと今昔物語とかを改変するやつを読むくらいなら「伊勢物語」とか読まなくちゃいけないかなあ..とか思っていた)。
「地獄変」は良秀(猿)が頭を下げてたあたりから、「こいつか!」とか思ったのですが、信頼できない語り手の話は本当に好きです。
良秀(人間)がなぜ弟子に動物をけしかけたのか、それすらも藪の中なのかはわかりません。。
やっぱり良秀は言うほど悪い人間ではないなぁと思ったし、
徹底した悪を探すよりも、人の深い哀しみを書くことや、想像することの方が人間にとっては難しいのかもしれません。
また短編ながら、その人物の複雑性を描ききっているところはさすがで、モーパッサンとかもそうですけど、短編が上手い人は人物の観察が丁寧です。
なぜ猿なのかとか、もう少し暗喩的なところを知りたいですねー。
実は夢野久作の話よりも「河童」とかの方がこわいのでは、と思いました。