- ジュディ・ブリッジウォーターを聴きながらブログを書いています。
カズオ・イシグロは読んでおかないとな~と思いながら読むのが遅くなりました。「約束のネバーランド」という漫画を紹介すると「私を離さないで みたいな話でしょ?」と言われて反応ができず、意固地になっていたからだと思います。
クローン人間で臓器提供のために育てられた人の話、くらいのあらすじしか頭にいれておかなかったのですが、微妙な人間関係についてこれほど丁寧に書かれた小説はほかに読んだことがありません。普段の人間関係に疎い私は「みんなよう考えながら人に接しているんだなあ」と思って読んでいました。キャシーとルースのお互いの友情はちょっとわかりにくい。
そして読者に情報を明かすようで全然感情的なことを話してくれないキャシー。
ルースにもトミーにも特別な感情があるのは違いないけれど、あまりにも人に自分を見せなさすぎるキャシー。秘密主義でかわいげのない灰原哀ちゃんって感じです。哀ちゃんのほうがまだかわいげがあります。
全体として「クローン人間として、臓器提供として育てられた私たちはどうしろっていうの!!」という激を全くというほど飛ばさず、だからこそ淡々と描かれる様子がノースフォークの海岸と重なります。
音楽が切り替わってチェット・ベイカーのAlmost blue を聴いているのですが読後の感じとしては(っていうか本の内容としても)こっちのほうが似合っている気がします。
読みながら私は一人の友達を思い浮かべていました。
何を考えているのかよくわからない、いつも風になびく旗のように飄々としていてうまく物事を進めてしまう。(ように周りには見える)。
過去も現在ももっと色彩のある日々であってほしいなあ、と思います。
とはいえ、たまにこんなノスタルジックな気分に浸らせる小説に出会うことも悪くはないんですけどね。(That sea, the gamblerを聴きながら)