車の免許をとって1000km走った話。

自動車免許を取ったのは大学4年生の春休みだった。

 

本来、卒業旅行シーズンの時に私は東北の自動車合宿で免許をとったのだ。

友達がエジプトとかオーストラリアとかに行っている間に、である。

 

運転免許を取っていなかったのには、ただただ自信の無さと車を運転する必要のなさにあった。

私は必要に迫らないと取り組まないだらけた性格の人間なのである。

 

とりあえず、地方に行くし車の免許は絶対必要、ということで取りにいった。

 

最初から他の人たちと足並みは違っていて、(つまり教官に不器用だとか言われた)

そしてなんとなく一緒に入校した子たちと差がつきはじめており…後から入校した人が先に卒業していく、という事態なのであった。

 

うん、なんとなくそうなる予感はあったんだけどね。

 

自転車だって補助輪が外れたのはなんと小学4年生の時だったし、その時も泣いてお父さんと一緒に特訓をしたのだった。交通安全指導員をしている父が学校に来て、交通安全教室をしている時、補助輪をつけたままでその授業を受けていたのは1学年120人の中、4人だけだった。

 

そしてその5か月後、私は一人で高速道路を1000km運転した。

 

え? 前記事にもあった? しつこい?

 

それでもそれだけ私にとってはとっても大きいことだったのだ。

隣に友人がいてくれたとはいえ、知らん道を時速100km以上で運転するのはちょっと恐い。トンネルは狭いし、対面になった時はひいって感じだし、ちょっとそんなに詰めないでよ、と思ったり、した。

 

新潟の黒崎PAから荒川胎内ICまでの間は、海沿いを走っているような感覚があった。

ICを降りた後は濃い霧の中の国道を走る。くねくねしている。緑が濃い。

 

でもそこには歩くだけでは見れない景色があった。

今まで 趣味:おさんぽ

でいいと思っていた私だけど、

やっぱり車でしか見れない景色もあるんじゃん、と思えた。

 

国道113号を好きになった。

高速はまだ関越の方が走りやすい。

 

「私さ、アメリカ大陸を横断するのが夢だったんだよね。そういえば」

というと、隣にいた友人は

「あなただったらできるよ」

という。

 

映画、プリシラ(鑑賞済み)とかテルマ&ルイーズ(未鑑賞)の世界に憧れて、

私はその前の小さな夢を叶えた。

 

花火だって、そんなにぽんぽんみられるものではないし

温泉だって、そんなに何度も行けるところではない。

 

やろうと思ったら何度だってできるのかもしれないけれど

人生は短い。

 

嬉しかった。

小国町の道の駅で伸びをして、息を吸った時、

補助輪つきの10歳の私を、ちょっと小突けるような気がした。

 

知らん景色を見てみようよ!

 

と。