「アフリカ文学の父」という触れ込みが好きではない。
けれどもアチェべの「崩れゆく絆」を読んだ衝撃はとても大きなもので、たくさんの「なんで?」が生まれた。
第1部ではウムオフィアの習慣、オコンクウォの人物像が描かれる。
第2部ではオコンクウォが追放されてからの暮らし、彼よりも年上の人たちの考えが反映され、第3部ではさらに加速したウムオフィアの状況が記述されていく。
誰でもウムオフィアを好きになると思う。確かにそのシステムには悲しみが漂い、残酷とまでも思えることがあるのだけれど、そのシステムの中で話し合いが大事にされ、ばらばらにならないようにしてきたのだ。
単純に「えー、キリスト教徒めっちゃ嫌なヤツじゃん!」みたいな気持ちも持ちつつ、まあでもキリスト教徒が悪いわけじゃないんだけど...でもこの状況は悲劇でしかない...と思ったり、めまぐるしく感情が揺さぶられました。
読み終わってばかりなのもありますが、うまく言葉にできません。
誰かの願いが叶う頃、誰かの悲しみがつきまとうということが、純然たる事実であることを教えてくれた本だなあと思いました。
そしてラストはほんとうに流れ弾。