新宿からはじまった

リクルートスーツを着て桜のほころぶ道沿いを歩く。

 

足をとめて個人経営のカフェでバナナフロートを頼んで、ESを書く。

出さないと何もはじまらないのだ、という一心で。

 

郵便局を探して新宿を歩くと、「高校生の頃は代々木のバスに乗っていたなあ」とか、

「どこのビルだか忘れちゃったけど、どっかのビルから景色を眺めて、働く自分を想像していたなあ」と思い出した。

 

先輩が寮でキャリアカウンセラーの人にESや面接やいろんなことを質問攻めにしていた光景を見たのはもう3年前。その1年後に私は一人京都旅行をして海外旅行のハードルの高さを知り、「自分の興味のあることはなんなのか?」を探し続けていた。3年生になって引っ越しとアルバイトをまた新しくはじめ、卒論のテーマが決まらないもんもんとした時期を過ごした。

 

私は今、東京の地理が少しずつ分かり始め、国会図書館半蔵門線丸ノ内線も近いことや、淡路町と神田駅は近いことや、飯田橋駅東西線はおそろしく遠いことや、都営大江戸線六本木駅は恐ろしく深いことを知ったけれど、

1年後私はどこに立っているのだろうと少し不思議である。

 

予定ではフランス旅行に行って現地でフランス語を試してみるつもりだけれども。

 

芝公園の桜も上野の夜桜もきれいだった。

JR総武線市ヶ谷駅から眺めるお堀の桜も美しかった。

 

大学最後の一年がはじまろうとしている。