草冠に楽と書いて薬。
楽はラクになるというリラックスしたイメージもあるし、快楽や楽観というようなポジティブな、(時に現実離れした)イメージもある。
三週間に一度、私は薬をもらいに医者に行く。
「セカンドオピニオンを受けたほうがいいよ」、と友達に言われたりする。「製薬会社の戦略じゃない」という人もいる。
一時期薬を大量に飲ませることで、過剰摂取で救急車に運ばれる患者が増えたせいだ。
クリニックで先生の前に座ると、私はpatientになる。
忍耐をしなければならない。
薬を飲まなければ、すごくイライラしたり、電車に飛び込みたくなったり、立っていられないような気持ちになるからだ。
叫びたくなる。身体が溶けてなくなりそうになる。歌い出したくなる。
だから私は薬をもらいに行かなければならない。
脳の物質の作用の問題なんて、よくわからない理由で、よくわからないことをいっぱいいう人がいても、私は少しでも自分が楽になるために、飲まなければいけない。
毎日。ずっと。たぶん一生。