父親の助言

ふっと先ほど目が覚めた。

 

前に使っていたPCは、母が買ってくれたものだったし、今のPCも母が買ってくれたものだった。

 

……前に、「土日も朝も部活だったんだよ」というと、はっとしていた様子の母。

 

そして気づいた。

私たちの生活が崩れていったのは、私が選んだ部活だった、ということ。

 

土日もなくて朝もゆっくりできなかった部活。

私の実家は月曜休みだったから、私はほとんど家族と顔を合わせることができなかった。

私が家族と向き合う時間がなかったから、家族はとても心配になったんじゃないか。

 

実を言うと、部活を選ぶ際に、私は父親に「ダンス部にしなさい」と言われていた。

「ダンス部? だってダンス部っていじめがあるんだよ」

と私はおびえた。

 

そして自分が好きなことができそうな吹奏楽部を、土日がなくてもいいや、と思ってそちらを選んだ。ほんとうはフルートがよかったけど、まあトロンボーンの先輩は優しそうだし、もう入部する雰囲気だし。

 

父の忠告をきかなかったことの一つ。

 

そして私はうつになる。

 

大学において、「第二外国語をどうしよう?」と思った時、私は好きな小説とか映画とか音楽がフランス語だったから、フランス語にしようと思った。

 

どうしよう? と父に聞くと、「ロシア語にしなさい」と言った。

ロシア語? あんな難解そうで何に使うかわからない言語?

「どうして?」と聞くと「ロシア語ができる人はいないから」と。

 

今振り返ると、ロシア語を選んでいれば、私は研究者になっていたかもしれない。

 私はオスマン帝国のゼミに入り、そこですごく素敵な先生と出会ったから。

 つまり研究者の道は閉ざされた。

 

そのことに気づいて愕然とした。

 

そして私は父に告げられた助言がまだ二つあるのだ。

「結婚するときに、喫煙者はダメだ」

「今の仕事を三年は続けなさい」

「遅刻はするな」

「今、部屋は片付いていますか?」

 

というもの。

私は父の忠告を無視していたせいで、あんなことにしてしまった。

ロシア語を選択しなかったことを、私はすごく後悔するのだろうか。

でも私が選んだ選択なので、後悔することはできない。

 

結婚相手と仕事のことだけは、何が何でも、守っていきたいと思う。

 

父親の助言や忠告を無視して好きなものを選んでもいいことはない。

 

そして大人になったので家族の助言をきかなかったから、とは言っても家族のせいにすることはできない。

 

安室奈美恵さんはこう言ったんだって。

 

大切な家族や自分の生き方を、安室奈美恵の犠牲にはさせない

 

私は家族の言うことを無視して多大なる負担を家族にしいてしまった。

これからはもうしないように。